LCPを崩す“EC独自の機能”|レコメンド・ランキング・カート連動の落とし穴
ECECサイトの魅力は、ただ商品を並べるだけではなく、ユーザーに最適な提案を行える点にあります。レコメンド、ランキング表示、カート連動コンテンツ…。
しかし、これらの「便利な機能」が Largest Contentful Paint(LCP)を崩す元凶 になっていることもあります。
今回は、ECならではの落とし穴を整理しながら、「機能を削らず、どう改善すべきか」を考えます。
機能拡張とLCP低下のジレンマ ─ ECに潜む三つの落とし穴
- レコメンド機能の裏に潜む遅延
- 「あなたにおすすめ」「この商品を見た人はこんな商品も」──
レコメンドはCVRを押し上げる重要機能です。しかし、その多くは外部サービスや複雑なアルゴリズムに依存しており、初回表示で商品画像の読み込みが間に合わず、LCPを大きく遅延させるケースが目立ちます。
とくにトップページや商品詳細ページのファーストビューに組み込むと、メインのビジュアルよりも後から呼び出され、表示を不安定にしてしまうのです。
- ランキング表示の“更新コスト”
- 売れ筋ランキングはECサイトの説得力を高める武器です。ただし、ランキングはデータベースからの集計処理を伴うため、動的生成に時間がかかり、LCPを押し下げる要因になりがちです。
本来ユーザーが最初に見るべきメインコンテンツよりも、「集計待ちのランキングブロック」が先に描画を占有してしまう──これが体感速度を悪化させる典型的な例です。
- カート連動のトラップ
- 「カートに追加した商品と一緒に買われているアイテム」を提示する機能は、アップセルやクロスセルの定番です。
しかし、カートデータはユーザーごとに異なるため、サーバー側での処理が不可欠で、キャッシュを効かせづらいという難点があります。その結果、ファーストビュー全体が遅延することも少なくありません。
“ECらしさ”を守りながら改善するには
では、これらの機能を削除すればよいのでしょうか?
答えは NO です。レコメンドやランキングは、ECサイトの成長に不可欠な施策だからです。
改善の方向性は以下の3つに集約されます。
- 初回表示から切り離す
LCPに関わるメインビジュアルやキービジュアルとは分離し、遅延読み込みとする - キャッシュの活用
ランキングやレコメンドの“候補”だけでもキャッシュを活用する、画像は遅延読み込みか先にプリロードしておく - 重要度に応じた優先順位付け
「まずはLCPを安定させる」ことを優先し、売上貢献度の高い箇所にのみ動的機能を配置する
売上を落とさずにLCPを守るために
便利な機能を“載せすぎて”サイトの表示速度が落ちるのは本末転倒です。
LCPを守りつつ、レコメンドやランキングのメリットを活かすことは十分可能です。
「機能の力で売上を伸ばす」のか、「機能の重さで顧客を失う」のか──その分岐点は、最初の3秒にあります。
ECサイト運営者であるあなたに求められるのは、機能のバランスを見極め、改善を“今”決断することです。

- 執筆者:西部俊宏
- 株式会社Webの間代表取締役。上場企業でのSEOやWebサイト構築実績多数。ECサイトのカスタマイズ経験も多数あり。
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