CLSが悪化する主な要因|構造・挙動・実装の“どこでズレるのか”を見極める

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CLS(Cumulative Layout Shift)は、「正しく作れば深刻化しづらい」一方で、ひとたびズレが起きると 原因の切り分けが難しい指標 でもあります。

今回は、現場で特に発生しやすい CLS悪化の代表的な要因 を整理し、それぞれが「なぜズレにつながるのか」を分かりやすく解説します。

画像や動画のアスペクト比が固定されていない

最も発生しやすく、かつ再現性が高いCLS要因です。

よくある状況
  • IMGタグに width / height が指定されていない
  • CSSだけでサイズを調整している
  • VIDEOタグの比率が途中で変わる
  • Lazyload後に“本来のサイズ”が確定する
なぜズレる?
ブラウザが事前に「縦横比」を把握できないため「初回レイアウトを仮で作成 → 読み込み途中でサイズ確定 → レイアウト再計算」という流れが発生するからです。
予防策
  • 画像には width と height を必ず指定
  • レスポンシブ対応は aspect-ratio を併用
  • background-image でも、比率を維持する配慮が必要

Webフォントの読み込みで段組みや行送りが変化する

視覚的には小さな揺れでも、CLSとしては大きくカウントされることがあります。

よくある状況
  • Webフォントが読み込まれるまで別フォントで描画される
  • 読み込み後に文字幅が変わる
  • font-display が未設定
なぜズレる?
フォントが変わると文字幅・行送り・段落の高さが変化し、レイアウトが再計算されるためです。
予防策
  • font-display: swap を設定
  • LCP周辺ではWebフォント依存を減らす
  • フォントファイルをサブセット化し軽量化

広告・レコメンド・動的コンテンツの後付けによる押し下げ

ECサイトやメディアサイトで特に多いCLS要因です。

よくある状況
  • JavaScriptで「後から」要素を挿入
  • 非同期ロードの広告が読み込み後に高さ変化
  • レコメンド枠が可変
  • 外部ウィジェットが動作
なぜズレる?
初期レイアウトが完成 → 後から高さのある要素が追加 → 周囲が押し下がる(レイアウトシフト)という流れが起こるためです。
予防策
  • プレースホルダー(固定高さの枠)を最初から確保
  • “挿入される領域” をCSSで確保
  • 重要箇所に動的挿入を置かない

DOM構造が複雑で、スタイル再計算が広範囲に伝播する

最近増えているCLSの原因です。

よくある状況
  • 入れ子が過剰
  • displayプロパティの後付け変更
  • 初期表示後にスタイルをJavaScriptで変更
  • フレームワークの仮DOM → 実DOMの切り替え
なぜズレる?
DOM構造が複雑だと、一部の変更が“周辺要素まで一気に再計算”され、大きなレイアウトシフトとして評価されるためです。
予防策
  • LCP周辺のDOMは極力シンプルに保つ
  • CSS上書きを最小限にする(ネストで整理)
  • JavaScriptによる初期スタイル変更を避ける

JavaScriptによる後処理がレイアウトを変化させる

JavaScriptが直接レイアウトに干渉するパターンは非常に多いです。

よくある状況
  • JavaScriptで高さを後計算して適用する
  • アニメーション(fadeIn・slideDown)が初期位置を変える
  • 初期化スクリプトが遅れて実行
  • SPA構造で遷移後に一斉描画
なぜズレる?
JavaScriptによるスタイル操作は、“表示後に要素のレイアウトを変える処理” のためブラウザはレイアウトを再計算し、CLSとしてカウントします。
予防策
  • 初期レイアウトはCSSで確定させる
  • アニメーションは transform / opacity に限定
  • UI変更はLCP要素より後で実行

複合要因で発生しやすい──1つ直しても直らない理由

CLSは、単発ではなく 複数要因の組み合わせ で発生することが多いです。

  • Webフォント+画像Lazyload
  • DOM肥大+JavaScript後処理
  • 動的挿入+高さ未設定

そのため「width/heightを指定したのに直らない」というケースが発生します。

CLS対策は「構造(HTML)× 表示順(CSS)× 挙動(JavaScript)」の3軸を同時に見る必要があります。

西部俊宏
執筆者:西部俊宏
株式会社Webの間代表取締役。上場企業でのSEOやWebサイト構築実績多数。ECサイトのカスタマイズ経験も多数あり。
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