INPが悪化する意外な要因|速いはずのサイトが遅いと感じる原因・理由

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「PageSpeed Insightsで点数も高いのに、なぜかINPが悪い」
「操作しても反応が遅いと言われるが、読み込みは速いはず」

こうした違和感を感じたことはないでしょうか?今回は、“一見速そうなサイト”でもINP(Interaction to Next Paint)が悪化してしまう、意外な要因について解説します。

表示が速くても、操作の応答が遅ければNG

INPはユーザーの操作(クリックやタップ、キーボード操作など)に対して、視覚的な反応が表示されるまでの「最大の遅延」を測定する指標です。

たとえLCPやFCPで高速表示されていても、ボタンを押しても何も起きなかったり、反応までワンテンポ遅れたりする場合、ユーザーは「遅い」と感じます。これが、INPの悪化につながるのです。

意外な盲点1:JavaScriptの後処理(イベント処理)が重い
ページの初期表示は速いけれど、ユーザー操作後に発火するJavaScript(例:モーダルの表示、入力フォームの検証、カート処理など)が重たいケースがあります。
特に、下記のようなパターンは注意が必要です。
  • 無駄に大きなライブラリ(jQuery UIなど)をすべて読み込んでいる
  • クリックイベントに重い処理(API通信や画像の描画)をそのまま書いている
  • DOMの大量書き換えやレイアウトの再計算を伴う処理が入っている
操作後の“裏で動いている処理”を見直さない限り、表示速度がどれだけ速くてもINPは改善しません。
意外な盲点2:外部コードの“操作応答ブロック”
例えば以下のようなコードが操作の妨げになることがあります:
  • 広告のクリックトラッキングコード(clickイベントを遅らせる)
  • アナリティクス計測(イベント処理に割り込み)
  • SNSシェアボタンの描画(DOMの再構成)
  • チャットウィジェットの読み込み(CPU使用率増)
見た目には影響がないものでも、クリックやタップの“直後”に発火している処理が潜んでいると、INPに悪影響を及ぼします。
意外な盲点3:視覚的な変化が遅れて起きるUI設計
INPは「ユーザーが操作したあと、画面がどう変化したか」を評価するため、視覚的なフィードバックが遅れるUIは不利になります。
  • ボタンを押しても「押した感触(影・アニメーション)」がすぐ出ない
  • 送信後にローディングアイコンが遅れて表示される
  • タブの切り替えなどがふわっと遅れて始まる
開発者としては「ちゃんと動いている」と思っていても、ユーザーの体験としては「反応が遅い」と感じられてしまうのです。

INP改善は“操作の瞬間”にこだわるべき

INP対策というとJavaScriptの削減やコードの遅延読み込みが思い浮かびがちですが、最も重要なのは「操作直後の処理をいかに軽く、早く返すか」です。

  • 操作後の処理を最小限にする
  • 遅延処理は非同期に逃がす(setTimeoutやWeb Workerなど)
  • まずは視覚的なフィードバックを即返す(押した感、ロード中アイコンなど)

特にINPは「最大の遅延時間」なので、1つでも非常に重い処理があれば、それが指標全体を引き下げてしまいます。

速そうなUIが“遅く見える”理由を正しく知ろう

INPが悪化する要因は、ページ表示の速さとは別軸にある「操作後の体験」に集中しています。
「表示は速いのに、なぜか遅く感じられる」――その原因の多くはJavaScriptとUI設計の中に潜んでいます。

次回は、こうした“INP対策に傾倒しすぎるリスク”や“他指標とのバランス”について掘り下げます。

西部俊宏
執筆者:西部俊宏
株式会社Webの間代表取締役。上場企業でのSEOやWebサイト構築実績多数。ECサイトのカスタマイズ経験も多数あり。
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