[ECサイトPSI合格点実績]JavaScriptとAjax多用のECサイトでページスピードインサイトを合格点に劇的改善

制作実績・対応事例

JavaScriptとAjaxを多用したECサイトにおいて、「PageSpeed Insights(以下、PSI)」スコアを90点台まで改善するのは簡単ではありません。しかし、ECサイト本体を大きく改修することなく、“見える速さ”を高める手法で成果を上げた事例があります。

サイト構成と課題の前提

今回ご紹介するECサイトは、以下のような構成で運用されています。

  • EC基盤:EC-CUBE
  • 独自CMSでEC機能を拡張

このECサイトはEC-CUBEで構築していますが、以下の機能追加を行っています。

  • 「本日のおすすめ」「週間おすすめ」などをトップに掲載
  • 一覧ページからの一括カートイン
  • 会員情報と購入実績に基づいたメルマガ配信
  • ページ単位での並び順指定機能
  • 月別人気商品リスト
  • シリアルナンバー連動のダウンロード販売
  • 基幹システム連携による在庫・売上データ処理

こうした柔軟な商品表示・販売機能を実現するために、もともとJavaScriptとAjaxを多用していました。その結果、LCP(最大コンテンツの表示)やINP(操作応答時間)に悪影響を及ぼしやすい構成となっていました。

対象ページごとのスコア推移

改善前後のPSIスコアは以下の通りです(モバイル計測)。

ページ対応前対応後対応後のLCP
トップページ3894LCP 2.8秒に短縮
商品一覧ページ5191LCP 3.5秒に短縮
商品詳細ページ6393LCP 2.5秒に短縮

改善前に指摘された典型的な課題

改善前は以下のようなページスピードインサイト指摘が並んでいました。

  • レンダリングを妨げるリソースの除外(2,240ms削減可能)
  • 使用していないCSS/JSの削減(約450KiB)
  • 過大なDOMサイズの回避(1,426要素)
  • LCP画像のプリロード不足
  • 過大なネットワークペイロード(3,453KiB)

それぞれに対して、「削る・遅らせる・圧縮する」対応を積み重ねることで、ユーザー体験の印象が大きく改善されました。改善結果は以下です。

主なページスピードインサイト改善対応内容

以下のような施策によって、スコア改善を実現しました。

サーバー設定の見直し
  • キャッシュ制御やgzip圧縮など、.htaccessの最適化
画像最適化
  • 商品画像をCMSにてWebP画像に変換
  • 画像の遅延読み込みを実施
  • LCP対象の画像に対しては優先表示
  • width と heightの指定
HTML/CSSのクリーンアップ
  • HTML軽量化、不要なDOMの削除
  • CSS軽量化、インラインCSSへ変更
  • Webフォントの見直し
JavaScriptの整理と分割
  • 使用していないJavaScriptの削除・最小化
  • Ajaxによる動的読み込みを「インタラクション後」に遅延化

トップページLCPが2.8秒でもスコア94点の理由

今回のトップページでは、Ajaxによって「本日のおすすめ商品」などのコンテンツを動的に表示しており、LCPが2.8秒にとどまっています。

本来であれば、LCPが2.5秒を超えるとスコアへの影響は大きいのですが、それ以外のボトルネックが解消されたことでスコア94点という高評価に達しています。Googleの評価指標が総合的であることを改めて示す結果となりました。

柔軟性と高速性を両立させる現実的なアプローチ

JavaScriptやAjaxを排除せずに、自由なコンテンツ展開とユーザー体験の高速化を両立させることは十分可能です。CMSやECシステムに手を加えずにできる範囲でも、「やるべき基本」が徹底できていれば、高スコアは実現可能です。

西部俊宏
執筆者:西部俊宏
株式会社Webの間代表取締役。上場企業でのSEOやWebサイト構築実績多数。ECサイトのカスタマイズ経験も多数あり。
会社概要はこちら