モバイルファーストの現実解|PSIで“スマホだけ悪い”をどう改善するか
モバイルPageSpeed Insights(以下 PSI)を計測すると、PCは90点台、スマホだけ60点台という結果は珍しくありません。
こんな時に諦めていませんか?
- 「モバイル回線が遅いから仕方ない」
- 「端末性能の問題だからどうしようもない」
- 「PCが速いならOKでは?」
しかし、スマホだけスコアが悪くなるケースの多くは回線や端末そのものではなく、構成と実行順序の問題です。
今回は「スマホ向けに作り直す」でも「全部削る」でもない、モバイルファーストの現実的な改善アプローチを整理します。
なぜ「スマホだけ悪い」が起こるのか(整理)
まず、スマホで遅くなる要因は単独ではありません。
- 回線が不安定
- CPU性能が低い
- JavaScriptの実行が重い
これらが同時に重なる設計になっているとき、PSI(モバイル)では一気に評価が下がります。
スマホ向けのPSI改善とは「軽いものを使う」ことではなく“詰まる瞬間を作らない”構成に変えることと言えます。
モバイルファーストとは「スマホ用に別物を作る」ことではない
モバイルファーストという言葉は、しばしば「スマホ専用デザイン」「機能削減」と誤解されます。
しかしPSIの文脈で言うモバイルファーストは違います。
- 最初に処理されるものを厳選する
- 後回しにできる処理を明確に分ける
- 初期表示に不要な負荷を積まない
つまり、実行順序の設計思想の話です。
スマートフォンでPageSpeed Insightsで見るべきポイント
スマホだけ悪い場合、以下の指標に必ず兆候が出ます。
- LCP:2.5秒を超えている
- Speed Index:見た目が出揃うまでが遅い
- Total Blocking Time:初期操作が効かない時間が長い
ここで重要なのは、どれか1つだけを見ることではありません。
- LCPが悪い → 初期リソースが重い
- Speed Indexが悪い → 不要な描画・読み込みが多い
- TBTが悪い → JavaScript実行が詰まっている
この組み合わせを見て判断します。
“スマホだけ悪い”を改善するための現実的な施策群
ここでは、よくある「やりすぎ施策」ではなく、効果が出やすい順に整理します。
- 初期表示に関与する要素を明確に分ける
- ファーストビューに必要な要素だけを先に描画
- それ以外の画像・装飾・機能は後段へ
「全部必要」に見える構成ほど、スマホでは破綻しやすくなります。
JavaScriptを“止める”のではなく“遅らせる”
多くのサイトで問題なのは、JavaScriptが多いことではなく初期に全部実行していることです。
- LCP表示後に初期化する
- ユーザー操作があってから読み込む
- 非同期でも「即実行」させない
これだけでTBT・Speed Indexは大きく改善します。
スマホで不要な処理を「実行させない」設計
同じコードでも、以下のような処理は非常に多いです。
- PC:問題なし
- スマホ:詰まる
これを存在しているだけで実行されている処理がないか、という視点で見直します。
- スクロール連動
- 常時監視のイベント
- 表示されていない要素への処理
モバイルPSI改善は「最適化競争」ではない
PSIだけを見て、次のようなテクニック合戦になっていませんか?
- preloadを足す
- priorityを上げる
- 指標を緑にする
しかしスマホで重要なのは、速く見せることではなく引っかからずに使わせることです。
- スクロールが効く
- タップが反応する
- 画面が急に変わらない
これらが守られていれば、PSIの数値も自然と安定します。
モバイルファーストの「現実解」とは
モバイルファーストの現実解とは、スマホ専用に作り直すことでも表現を削り落とすことでもなく、処理の優先順位をスマホ基準で設計し直すことです。
- 初期にやるべきこと
- 後でやればいいこと
- やらなくても成立すること
これを整理できたサイトは、PSIでも、実際の操作感でも、確実に安定します。スマホで遅い理由は「環境のせい」ではありません。構成と実行順の問題です。
PageSpeed Insightsを「点数を見るツール」ではなく、詰まりを発見するツールとして使えるようになると、モバイル改善は一気に現実的になります。
[参考文献]
・Google / web.dev「モバイルパフォーマンス、Core Web Vitals、PageSpeed Insights に関する公式解説」(モバイル回線・CPU制約・JavaScript実行コストの考え方を含む)
・Chrome Developers(旧 Google Developers)「PageSpeed Insights・Lighthouse の評価指標(LCP / Speed Index / TBT)とモバイル環境におけるパフォーマンス特性の公式ドキュメント群」
・W3C Web Performance Working Group「Long Tasks / Main Thread ブロッキング / UI 応答性に関する仕様および設計思想(「50msを超える処理がUXを阻害する」という前提の根拠)」

- 執筆者:西部俊宏
- 株式会社Webの間代表取締役。上場企業でのSEOやWebサイト構築実績多数。ECサイトのカスタマイズ経験も多数あり。
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